【イベントレポート―前編―】あなたのやりたいことが見つからない3つの理由

 

 「将来やりたいことが見つからない」「自分に合う仕事に出合えるか不安だ」――。

 学生向けキャリア支援のプロ・羽田啓一郎さん(Strobolights代表)によれば、就職活動を前にそう考えてしまうのには3つの理由があります。「やりたいことを見つける」ために、自分のやる気が出るポイントや興味のある分野を知る方法、将来の選択肢や視野を広げるための情報収集術について、日本新聞協会×マイナビ学生の窓口の特別セミナー(2022年10月)で語りました。

 特別セミナー「大学1、2年生から始めるキャリアイベント あなたのやりたいことが見つからない3つの理由」の様子を2回に分けてお伝えします。

 


■自分の「モチベーション・ポイント」を知る

 今日セミナーに参加しているのは大学1、2 年生が多いですね。意外かもしれませんが、「やりたいことが見つからないんですが、どうすればいいでしょうか」という相談を就活生から受けることもとても多いです。

 やりたいことが見つからないのはどうしてか。理由は3あります。

 

 1つ目は「自分の判断基準が分かっていないから」

 世の中にはとにかくいろんな企業、業種があります。マイナビの就職サイトに載っているだけでも2万6000社あります。グローバルな事業を手掛けるスケールの大きい仕事もあれば、最新のテクノロジーを追究する仕事、高いコミュニケーション能力が求められる仕事、正確に物事を進める能力が求められる仕事などさまざまです。

 当たり前ですが、やる気が出るポイントは人によって違います。就活生はよく「何事にも挑戦します」と言いますけど、何事にも頑張れる人なんかいません自分のことが分かっていないと、自分がどんな会社に入り、どんな仕事をすればやる気が起こるのかは分かりません。就活を始める前に、この自己分析をしっかりやってほしいと思います。自分の本心や本音の部分は、案外自分でも分かっていないと思ってください。

 就活生でも自己分析をおろそかにする学生さんは多いです。なぜ自己分析をしないのか聞くと「自分のことは何となく分かっているつもりです」と言われます。ただし、皆さんが理解できているのは、自分がやってきた「行動」に過ぎません。

 どの大学・学部に入学し、アルバイトやサークル活動で何をしてきたかというのは思い返せば分かります。でも、その行動の裏側にどんな思いや考えがあったのかは意外と分からないものです。

 「カフェでのアルバイトを頑張った理由なんかない」と思っていたとしても、無意識にやっていたことの中に何かしらかの「あなたらしさ」が反映されています。これを言語化できるようにしてほしいのです。

 手軽にできる方法は「帰納法自己分析」です。

 白紙を用意し、これまでうれしかったことや、やる気になったことを思いつくままに書き出してみてください。全部出し切ったなと思ったら、書いたものをながめてください。自分はこういう時にやる気になるのかな、と見えてきた部分があなたの「モチベーション・エンジン」の一つかもしれません。

 

■目に見えている企業はほんのわずか

 やりたいことが見つからない理由の2つ目は「選択肢を知らないから」です。

 知らないものに対して興味を持てと言われても無理ですよね。大学生が興味のある分野は限定されています。例えば、食品、観光・旅行、エンターテインメント、ファッション・化粧品・・・これぐらいでしょうか。

 ここで質問です。あなたの手元に1本のミネラルウオーターがあるとします。このミネラルウオーターを販売している飲料メーカーの社名を一つ、頭に思い浮かべてください。おそらく皆さんできるはずです。

 では、このペットボトルのキャップを作っている会社は知っていますか?

 これは飲料メーカーではなく、プラスチックメーカーが作っています。

 このように、社会には消費者向けに商品やサービスを提供するB to C企業と、企業間取引を中心とするB to B企業が存在します。皆さんから商品の対価をもらわないB to B企業は、消費者向けに広告を出す必要がありません。つまり、ただ日常生活を送るだけでは、こうしたB to B企業の社名やロゴを目にする機会はほとんどありません

 でも、名前の知らない企業って怪しいと思ってしまいませんか?すごくもったいないです。

 2020年度の電子商取引の市場規模を比べると、B to C企業の19兆円に対し、B to B企業は334兆円でした(経済産業省調べ)。つまり、名前の知らない企業であっても、優良企業はとても多いのです。知らないと選ぶことはできません。早いうちから、知らない企業にも情報収集のアンテナを広げてほしいと思います。

 

■情報収集はスマホだけではダメ?

 この情報収集の仕方が、やりたいことが見つからない3つ目の理由です。

 例えば、スマートフォンやパソコンで何かを調べている時、不動産投資の広告が出てきたことがある人はいますか?40代男性を悩ませる内臓脂肪を減らす薬の広告が出た人はいますか?多分いないと思います。

 ネットやSNS、スマホのアプリを通じて接する情報は、全て人工知能(AI)のアルゴリズムによってコントロールされています。皆さんが普段どんな言葉で検索をしているか、普段どんなウェブサイトを見ているか。地図アプリでどこを検索しているかなど全てデータとして収集し、皆さんに興味がありそうな情報を優先的に出すよう設計されています。気持ちの良い情報しか入ってこないので便利です。しかし、先ほど話したように視野を広げようと思うと、なかなか問題が多いわけです。

  SNSでも発信者が不透明なことが多いですよね。最近は、発言の一部分を切り抜いた動画も増えています。名前も顔も明かさない出所が怪しい情報の方が見せ方が上手です。

 つまり、ネット中心の情報収集では、自分が気づかないうちに誰かにコントロールされた情報しか入ってこなくなってしまいます。皆さん、顔も名前も分からない人が発信した情報に右往左往するのはやめませんか?

 自分の人生ですから、自分はこんな人間だと理解し、選択肢を広げてから企業を選んだ方が良いキャリアになると思います。そのためにもぜひ、より良い情報収集をしてください。

 

 

後編「将来の選択肢を広げる1日10分の《新習慣》」はこちら!

 

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