新聞は「就活の必須アイテム!」と聞いたことはありませんか?「今の時代、インターネットやSNSで簡単に情報収集できるでしょ」「新聞なら、面接前に図書館で少し読んでおけばいいでしょ」と思っていませんか?自分がやりたい仕事に就くには事前の情報収集が欠かせません。この記事では、SNSで情報を集める際の落とし穴や、就活前から実践できる効果的な新聞活用法を紹介します。
※この記事は2023年10月開催のイベント「自分のミライをどう変える?今から知っておくべき大学1、2年のための情報収集術」の内容を基に作成しました
就活前の情報収集、SNSが主戦場
就活スケジュールは早期化|25卒のインターンシップ参加率は8割超
まず、就活のスケジュールを確認してみましょう。4年制大学に通う学生の場合、企業による採用情報の広報は3年生の3月以降、採用選考活動は4年生の6月以降、内定の通知日は4年生の10月以降を原則とするよう、政府は経済・業界団体を通じて各企業に要請しています。
しかし、企業の採用活動は早期化していると言われています。政府の考え方では、2週間以上の就業体験を伴うインターンシップに参加した学生は選考スケジュールを前倒しすることも認められています。実際のところ、就職情報大手のマイナビが2025年3月に卒業予定の大学3年生、大学院1年生に聞いた調査では、23年10月時点で回答者の約85%が企業の「インターンシップ・仕事体験」に参加しているそうです。
就活情報はどこから?|3人に2人がSNSを活用
学生は、就活に関する情報をどこで集めているのでしょうか。先ほど紹介したマイナビの調査では、インターンシップ・仕事体験や就職準備の情報収集にSNS・ソーシャルメディアを使っていると回答した人は68.7%でした。その割合は2年前と比べて6ポイント増えています。
「SNS頼み」が危険な訳|キャリアコンサルタントが解説
就活に関する情報はSNSで集めることが当たり前になっています。でも、SNSで発信される情報をそのまま信じていいのでしょうか。大学でのキャリア指導や企業の採用支援を手掛ける羽田啓一郎さん(株式会社strobolights代表)に、SNSで就活情報をリサーチする際の注意点を聞きました。
ビジネス情報に触れ、志望業界の選択肢を広げよう
就活の準備を進める上で大切な事は《自己分析》と《情報収集》です。自己分析については別の記事で詳しく話していますので、ここでは情報収集について解説します。
就活に関する情報は世の中にあふれています。情報を集めようと思えばいくらでも取れるからこそ、自分なりの判断基準を持たないと「情報の波」にのまれてしまいます。でも、「知っている」「興味がある」だけを情報収集の基準にすると限界が訪れます。学生が日常生活で目にする企業は食品、アパレルや化粧品、旅行、エンターテインメントの大手などに限られます。こうした学生の間で知名度が高い企業は、選考倍率も高く、元々知っていた企業ばかり受けていると就活はおのずと厳しくなります。
実は世の中には、企業間取引(B to B)を中心とした優良企業が数多く存在します。例えば、いま手にしているスマートフォン。アップルやグーグルなどのメーカーや、使用契約を結んでいる通信事業者は当然知っていると思いますが、端末のディスプレーや内蔵されている半導体の製造会社は知っていますか?こうしたB to B企業は消費者向けの広告を出していないため、一般には認知されにくいのです。
しかし、「知らないから怪しい」と思うのはもったいない。就活前の学生の皆さんは、さまざまなメディアで企業やビジネスの情報に多く触れ、視野を広げる必要があります。選択肢を広げた状態で自分に合う業界・企業を選ぶことをおすすめしています。
アルゴリズムの「罠(わな)」にはまらないために
企業やビジネスに関する幅広い情報に触れると言っても、情報収集のツールがSNSだけでは、これまた限界があります。SNSやYouTubeで流れてくる広告やおすすめの投稿は、全てアルゴリズムにコントロールされています。あなたが普段どんなウェブサイトを見ているか、どんな言葉を検索しているか、今どこにいるのか――こうした情報を機械的に分析して、その人に合う情報や広告が表示される仕組みになっています。便利と言えば便利ですが、もっぱら自分の関心のある領域の情報にしか触れられないので、知らない世界の話を得ようと思っても限界があるのです。
SNS・YouTubeで見る「就活必勝法」「評価される“ガクチカ”ランキング」は危険
SNSの就活系インフルエンサーやユーチューバーが発信している「自己PRはこれを言え!」とか「人事担当者が評価する学生時代のエピソードランキング」のような投稿を見たことはありませんか?就活が始まると、皆さんのSNSやYouTubeでおすすめコンテンツとしてたくさん流れてくるはずです。嫌だなと思うかもしれませんが、アルゴリズムが「この人は就活に関心がある」と判断すれば、とにかくたくさん表示されます。
ここ数年、こうした情報をうのみにしている学生がすごく増えています。扇動的なサムネイル画像につられ、つい見たくなってしまうのはわかりますが、企業の新卒採用に携わる私から見ると、「何を言っているんだ!」という内容ばかりです。顔や名前を出さない人が、何の責任も負わずに発信している情報は信じない方がいいと思います。はっきり言って、“嘘ばっかり”です。
視野を広げる情報収集に有効な新聞
これから志望先の企業やインターンシップの応募先を就活情報サイトで探す機会が増えると思います。検索では自分で打ち込んだワードに関連する情報しか出てきません。合同企業説明会に足を運んでも、話を聞いてみようと思うのは名前を知っている企業ばかりになりがちです。興味のある部分を深めようというのであればよいかもしれませんが、幅を広げようと思ったら、社会やビジネスについて知らない情報も入ってくる新聞を読むのは良い方法だと思います。
就活生にオススメの新聞の読み方
キャリアコンサルタントの羽田さんによると、就活をうまく進めるためには、信頼性の高い情報を幅広く集めることが大切なようです。そのためのツールとして新聞が有効だというものの、「読み方がわからない」という学生も多いはず。就活に役立つ効果的な新聞の読み方について、日本経済新聞社の小熊由美子さんに聞きました。
プロが選んだ情報が時短でわかる新聞|ポイントは「全部読まない!」
新聞には、記者が取材したたくさんの情報の中から、情報のプロが「今日はこれだけは知っていてほしい」と思う記事を選んで載せています。プロがフィルターをかけた重要な情報だけがまとまっていることが新聞の強みです。特に大事なニュースは記事も大きく扱っているので、記事や「見出し」の大小で重要度が判断できます。それぞれの記事には、要点を短い言葉でまとめた見出しが付いています。見出しを読めば記事の内容がある程度わかります。見出しにだけ一通り目を通し、興味のない記事は読み飛ばしたっていいです。
あえて言いますが、全部読まなくていいです!新聞は毎日、300ページの文庫本1冊分の文字量があると言われています。全部読もうとすると、ちょっとしんどいです。新聞に載っている情報をいかに捨てるか、逆に言えば「情報を拾うテクニック」が必要です。新聞を読めば、ネットで一から情報を探すより“時短”にもなります。情報収集のビギナーは、プロが必要な情報を選んでくれている新聞の方が世の中の流れが早くつかめると思います。
新聞は「当事者から聞いた情報」だから信用できる
新聞記事は、情報が正しいか複数の人が確認した上で掲載しているのも特長です。一つのニュースについて何人もの記者がそれぞれの人脈を生かし、情報提供してくれる当事者にアプローチ(取材)をしています。例えば日本経済新聞では、物流大手2社が協業するというニュースがあった際、それぞれの会社の担当記者が複数いて、各人が別々の部署や関係者など複数の情報源に取材して情報を集め、それを本社に集めて多角的な視点で事実を確かめます。企業担当制を敷いているため、情報提供者には顔を覚えてもらえ、信頼関係もできています。新聞社という「組織」が情報収集し、事実かどうか確かめた上で情報を伝える。ここが「どっかの誰かが言っていた」というネットで目にしがちな情報とは大きく異なります。
まずは1週間の無料試し読みから始めよう
この記事では、キャリアコンサルタントの羽田さんに聞いた「就活前に信頼できる情報を集めることの重要性」、新聞社に勤める小熊由美子さんに聞いた「就活生にオススメの新聞の読み方」を紹介しました。
就活前に新聞を読んでみるのは有効かも――。そう思ったら、無料の試し読みから始めるのがおすすめです。多くの新聞社が1~2週間の無料試し読みサービスを提供しています。自宅近くの新聞販売店から自宅のポストに希望した新聞が届きます。配達期間は新聞社によって異なります。
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2024年3月21日
※羽田さん、小熊さんの所属や肩書を含む記事の内容は掲載日時点の情報です