【イベントレポート―後編―】将来の選択肢を広げる1日10分の《新習慣》

 

 無料のネットニュースだけでは不十分なのはなぜ?新聞を読むと将来の選択肢が広がる!?

 日本新聞協会×マイナビ学生の窓口の特別セミナー「大学1、2年生から始めるキャリアイベント」(2022年10月開催)の後編は、就職活動を終えたばかりの大学4年生と新聞社の編集局長を交えて、身になる情報収集術について話し合いました。

 ニュースに毎日触れることが志望業界の絞り込みに役立ったと話す内定者の若佐さん。新卒採用も担当した経験を持つ新聞社の編集局長が勧める1日10分でできる新聞の読み方とは?

 トークセッションの進行は、前編で「あなたのやりたいことが見つからない3つの理由」を教えてくれたキャリアコンサルタントの羽田啓一郎さん(Strobolights代表)です。

 

 

■記事をストックして自分の興味を知る

羽田さん:若佐さん、就職活動お疲れさまでした。就活中に役立った情報収集法を教えてください。

若佐さん:大学3年の夏ごろから、友人3人とグループLINEで「1日1ニュース」に取り組んでいました。無料のネットニュースから気になる記事を1日1本選び、記事の要約をグループに投稿する取り組みです。これが志望する業界を絞り込むのに役立ちました。ある程度続けた後に見返してみると、自分はこういう分野に興味があるんだなというのが見えてきて、内定先でもある資源エネルギー業界が選択肢に入ってきました。やりたいことを見つけるために、非常に役立ったと思います。

羽田さん:先ほどの講演で、自らの体験から自分の価値観を導く「帰納法自己分析術」を紹介しましたが、若佐さんも自分が選んだニュースを後から見返したら共通点が見いだせたってことですね。就活前(大学1、2年生の頃)はどのように情報収集していましたか?

若佐さん:まだ就活を意識していなかったので、気になるニュースを見る程度でした。中高生のころから、テレビやネットでニュースを見る習慣はありました。

羽田さん:続いて諸麦さん。今は本当にいろんな情報があふれていて、本当かどうか分からない情報もたくさんあります。メディアやSNSの情報に触れる際に気を付けるべきポイントを教えてください。 

 

 

諸麦さん:羽田さんの講演にもあったように、ネット上の情報は全てアルゴリズムでコントロールされています。チョコレート好きの人にはチョコの情報ばかり、アイスクリーム好きの人にはアイスばっかり。これだと視野は広がりません。それに対し新聞は、バランス良くいろんな情報が載っていて、言わば「幕の内弁当」のような商品です。バランスの整った新聞を3か月でもいいのでめくってみてください。いろんな情報が自然と目に入り、知らず知らずに自分の引き出しが増えていきますよ

 無料のネットニュースを見ないで!と言っているわけではありません。ネットの特性や仕組みを理解した上で見てほしいと思います。情報がたくさんあることはとても幸せです。しかし情報が山ほどあり、そこにフェイクも混じっているとなると、情報の良しあしを見抜く感度を磨く必要があります。 

羽田さん:なるほど。新聞はペラペラとめくっていれば全然興味がない情報も入ってくるっていうメリットがありますよね。

諸麦さん:新聞はネットと違って手元にあるので、朝でも夜でも読めます。ぜひまずは新聞を広げてみてほしいなと思います。1日ほんの10分でも時間を作れば、そこに世界が広がっています。新聞にはフェイクニュースが載っていませんので、安心して読んでもらえるかなと思います。ただ、記事の内容をうのみにせず、やはり自分で考えながら読むことが大事です。 

 

 

■新聞で「確かな情報」に触れる

羽田さん:新聞には記者の方が取材を尽くして、「情報の確からしさ」が担保された記事が載っていますよね。記者はどんな思いで取材しているのですか。

諸麦さん:記者はとにかく現場に行って取材します。やはり現場に行くと感情が動くんですよね。これおかしいなと感じたり、取材相手と一緒に喜んだり悲しんだり・・・。状況次第では、原稿を書きながら泣いている記者もいます。でも感情に動かされるだけではプロではないので、デスクと呼ばれる人が記者の書いた原稿を客観的に見てアドバイスしたり、別の人が見出しを付けたり校閲したりします。一つの記事にたくさんの人の手が加わるので、「情報の確からしさ」は高まっていくのかなと思います。

羽田さん:記者の方の「裏取り」は本当に徹底していますよね。

諸麦さん:情報の確認作業のことですね。1つのルートだけでなく複数のルートで確認し、確認が不十分な場合は記事を載せないと判断することもあります。そして、記者が苦労して書いた記事、物事の背景や知って得する情報は、紙の新聞か、有料のデジタル版でないと読めません

羽田さん:若佐さんは、今回のイベント前に新聞を1週間試し読みしてみたと聞きました。どうでしたか?普段見ているネットニュースとの違いを感じた部分があれば教えてください。

若佐さん:新聞を読んでみて「いいな!」って思ったことが2つありました。1つ目は、僕みたいに集中力がない人でも、意外と没頭して読めるという気づきがありました。ネット記事だと、少し長いと理解するのに時間がかかったり、集中力がないと我慢できずに違うアプリを開いちゃったりしますよね。一方、紙の新聞はすぐ隣に別の話題の記事があって、そっちもスラスラと読めました。

 

 

 もう1つ、紙面には注目度の高い出来事が大きく扱われているので、一定期間読み続けるとその問題にちょっと詳しくなった気になれるのもいいなと思いました。ネット記事だと全て等しい価値付けで並んでいるので、興味のある記事にしか目がいかないですよね。僕が新聞を読んだ時期は、中国の全国人民代表大会や円安に伴う日本政府の為替介入の記事が大きく載っていて、新聞を少し読むだけでニュースに詳しくなったことへの満足感が得られて良かったです。

羽田さん:新聞はどんな時に読んでいましたか?

若佐さん:最初は電車内とか移動時間に読もうとしていたのですが、紙面を広げるとサイズが大きくてやめました。後半は寝る前の読書の時間を、新聞を読む時間に変えました

 

 

■「情報収集能力の高さ」をアピールするために

羽田さん:諸麦さん、新聞を読むのが初めての人、これから読んでみようと思っている人へのアドバイスはありますか。

諸麦さん新聞に慣れるまでは後ろから読むといいですね。最終ページはテレビ欄の新聞が多いですが、1枚めくると「社会面」というページがあります。アンハッピーなニュースがやや多いですが、その時の事件や人々の喜怒哀楽が詰まっているのが特徴です。「泣けるニュース」も載っています。皆さん、難しい新書とか解説本よりも小説の方が得意なのではないでしょうか。それに近い感覚で読めると思います。

羽田さん:意外ですよね。新聞には政治やビジネス、企業の動きばかり載っているのかと思いきや、身近な社会で起きている感情が動くような情報もあるということですね。でも、新聞は紙じゃなくてデジタル版で読みたい!という人はどうしたらいいですか。

諸麦さん:先ほども少し触れましたが、記者が苦労して書いた記事は有料契約しないと読めません。通り一遍の情報を知りたいのであれば無料のネットニュースで十分ですが、「それってなんで?」とか「何か良い解決策はないのかな?」とか、より深いことを知ろうと思ったら、新聞社の有料サイトを見るのが良いです。そこにはしっかりと構成された記事が、価値の高いものから順に並んでいます。1つの記事を読んだら関連記事も読めます。さらに、過去の記事を検索できるデータベースまで付いています。

 紙でもデジタルでも、新聞にはたくさんの業種、たくさんの人の話があふれていますので、1本の気になる記事から調べていくとその人が働いている企業や業界に興味が持て、就活のための情報収集にもなりますよね。

 面接の時に「何で君はうちの会社に興味を持ったの?」って聞かれた時に、「あのニュースがあって、それから調べていたら御社にたどり着きました」というと、情報収集能力があると思ってもらえますよ。1、2年生の時から情報収集の土台作りに生かしてくださいね。

 

 

 ■参加者からの質問にもお答えしました!

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