【就活を考え始めたあなたへ】キャリア支援のプロが教える志望業界の絞り方

 


[この記事で分かること]

①内定者が語る「就活、いつから始める?」「何から始める?」

②キャリア支援のプロが教える志望業界の絞り方

③内定獲得に近づく新聞の読み方とデジタル版の使い分け方


 

 自分に向いている仕事って何?自分のやりたいことをどうやって見極めたらいい?

 これまで多くの就活生をサポートしてきたキャリアコンサルタントの羽田啓一郎さん(Strobolights代表)は「自分の大切にしたい軸の優先順位を付けること」が重要だと話します。とはいえ、さまざまな選択肢の中で、心が揺れ動くこともありますよね。羽田さんがおすすめする「帰納法自己分析」「トヨタ式思考法」について教えてもらいました。

 

 

 この記事は、2022年10月開催の大学生向けイベント「あなたのやりたいことが見つからない3つの理由」の特別編です。イベントリポート前編】【後編を読んだ学生の皆さんから届いた質問に、内定者の若佐大夢さん、キャリアコンサルタントの羽田啓一郎さん、朝日新聞社の諸麦美紀さんが答えます。

 

 

Q. イベントでは、やりたいことが見つからない人へのアドバイスを話していただきました。私はやりたいことが多すぎて一つに絞れません。どうしたらよいでしょうか?

羽田さん まずは自己分析をして、自分が大切にしたい軸の優先順位をつけることかなと思います。軸というのは、例えば「やりがい」「報酬」「成長」「影響範囲」「知名度」など。人によって千差万別、いろいろな軸があるはずです。

 残念ながら、やりたいことを全部かなえることはできません。特に自分が大切にしたいことの優先順位をつけましょう。優先順位を参照しながら、自分が何をすべきか検討してみましょう。

 

Q. 自分の軸を考える時、おすすめの自己分析法はありますか?

羽田さん 「これじゃなければだめ!」というわけではありませんが、2つの方法を紹介します。

 手軽にできる方法は「帰納法自己分析」です。白紙を用意し、これまでうれしかったことや、やる気になったことを思いつくままに書き出してみてください。全部出し切ったなと思ったら、書いたものをながめてください。自分はこういう時にやる気になるのかな、と見えてきた部分があなたの「モチベーション・エンジン」の一つかもしれません。

 自分のこれまでの行動を「なぜ?」という思考で繰り返し深掘りする「トヨタ式思考法」もおすすめです。「なんでこれをしたのか?」を3~5回程度深掘りしてみると、自分が大切にしている価値観が見つかるのではないかと思います。

 できれば第三者と一緒にやって、自分の行動を深掘りする質問を繰り返してもらうのがおすすめです。自分の軸となる価値観が見つかったら、その価値観がいつ、どのように生まれてきたのかの自分史をまとめてみましょう。

 

Q. やりたいことが決まっていたはずなのに、大学でいろいろな価値観に触れ、迷いが生じてしまいました。最終的に何を信じ、進路をどう決めたらいいでしょうか?

羽田さん やりたいことを実現する手段は一つではありません。さまざまな選択肢があるはずです。その中で、心が揺れ動くのは悪いことではありません。

 おすすめは、信頼できる大人に自分の思いや悩みをぶつけてみることです。自分の口で話すことで、自分への理解が進むはずです。ただ、答えはありません。自分が選んだ選択肢を「正解」にできるように頑張りましょう。

 家庭と仕事の両立で悩む人も多いです。今は労働環境の改善がかなり進んでいるので、仕事単位で見ると、あらゆる仕事が家庭と両立できるようになっています。

 仕事の種類というよりは、会社の諸制度が整っているかどうか、そして職場の理解が得られやすいかどうかをみた方がよいと思います。実際に両立している社会人の話を聞いてみると、働く様子がリアルにイメージしやすいのではないかと思います。

 

Q. 就きたい業種は大学の勉強と関連性がなくても大丈夫でしょうか?

羽田さん 大学は「就職予備校」ではありません。大学での学びと就職先の業種は、ほとんどの学生にとって直接的な関連がありません。関連性があるのは、研究開発職、医療の仕事くらいでしょうか。それ以外の仕事であれば、大学で学んでいなくても問題ありません。

 

 

 内定者の若佐大夢さんにも志望業界の絞り方や、就職先を決める際に重視したことを聞きました。

※若佐さんの略歴は2023年2月の回答時のものです

Q. 若佐さんは就活中、気になるニュース記事の要約と感想をまとめる「1日1ニュース」に取り組んでいたそうですが、自分の進路選択にどう役立ちましたか?

若佐さん 「1日1ニュース」の取り組みは、志望業界を絞り込むのに役立ちました。大学3年の夏ごろから、毎日10分程度で要約と感想をまとめ、友人とグループLINEでシェアしていました。

 ある程度続けた後に見返してみると、自分はこういう分野に興味があるんだなというのが見えてきて、内定先でもある資源・エネルギー業界が選択肢に入ってきました。やりたいことを見つけるために、非常に役立ったと思います。

 

Q. 選考を終え、就職先を決める際に重視したところは何ですか?

若佐さん 自分がこの会社に入って仕事を続けることができるかという観点で、適性を重視しました。中途半端に仕事を辞めてしまうと、今後のキャリアに響くため、これを優先しました。仕事内容、勤務地、給与、職場の雰囲気などさまざまな要素があり、内定後の面談などで正直な話を聞いて判断しました。

 

2023年3月27日公開