「就活っていつから動き始めればいい?」「そもそも、何から始めたらいい?」――。
就活を意識し始めると、誰もが気になるこのギモン。幅広い業界で短期のインターンシップを経験し、資源・エネルギー関連の企業から内定を得た先輩に、就活準備で大切なことや学業と両立するコツを聞きました。大事にしていたことは、本選考が始まる前に「就活に慣れること」だそうです。
さらに、自分のやりたいことや自分が向いている仕事をどう見極めるかも皆さんの頭を悩ませますよね。多くの就活生をサポートしてきたキャリアコンサルタントの羽田啓一郎さんに聞きました。ポイントとなる「大切にしたい軸の優先順位を付けること」について、わかりやすく解説します。
目次
就活準備は業界研究とES添削から|自分のペースで学業と両立を
―― 今回は、資源・エネルギー関連の企業から内定を得た若佐大夢さんに話を伺います。若佐さんは学業と就活をどのように両立していましたか?
僕の場合は、大学3年の夏ごろから就活を意識し始めました。内定先が決まり、就活を終えたのは4年の6月です。しかし、僕の話は一例にすぎません。無理に両立を目指すのではなく、大学3年の冬頃までは学業に集中することをおすすめします。
ただし、それまでも学業の合間に業界研究やエントリーシート(ES)の添削などはするべきです。そうしておくと、いざ就活に本腰を入れた時にはある程度経験値を積んだ状態で本選考に挑めます。
Webテスト、ES添削、面接練習を重ねて
―― 就活対策は具体的にどのようなことをしていましたか?
時期によっても異なります。インターン先を探していた時は、グループディスカッションの練習を多めにやりました。大学3年の1月以降はWebテストやES添削、面接練習を繰り返し、ぶっつけ本番で挑むことがないよう心掛けました。
就活対策は、常に「慣れること」を意識して進めていました。ES添削や面接練習を増やしてフィードバックをたくさんもらい、その原因を特定することが効果的です。選考の本番で落ちた場合、たいていはその理由を教えてもらえません。しかし、練習であればダメなところをチェックしてもらえます。自分の「ダメ」な部分に気づき、そこを対策すれば良くなるので、気分もプラスになります。
気になるニュースを1日1本要約|記録することで自分の関心が把握できる
―― 就活に向けた情報収集では、どのような工夫をしていましたか?
大学3年の夏ごろから、友人3人とグループLINEで「1日1ニュース」に取り組んでいました。無料のネットニュースから気になる記事を1日1本選び、記事の要約をグループに投稿する取り組みです。これが志望する業界を絞り込むのに役立ちました。
記事を選ぶ基準は、純粋に自分の興味のあるかどうかだけです!僕はエネルギーや環境問題などの記事が多めでしたが、一緒にやっていた友人はテーマパークや観光の話題を多く選んでいました。
記事の要約は多くても300字程度。10分程度で取り組んでいました。とにかく継続が大事なので、負担にならない範囲でやるのが一番です。
ある程度続けた後に見返してみると、自分はこういう分野に興味があるんだなというのが見えてきて、内定先でもある資源・エネルギー業界が選択肢に入ってきました。やりたいことを見つけるために、非常に役立ったと思います。
「早く内定を」不安でも焦らない|適性を重視
―― 選考を終え、就職先を決める際に重視したところは何ですか?
自分がこの会社に入って仕事を続けることができるかという観点で、適性を重視しました。中途半端に仕事を辞めてしまうと、今後のキャリアに響くため、これを優先しました。仕事内容、勤務地、給与、職場の雰囲気などさまざまな要素があり、内定後の面談などで正直な話を聞いて判断しました。
就活の中で一番後悔しているのは「本当に自分がしたいこと」を見失ったまま本選考に挑んでしまったことです。「早く内定がほしい」という焦りから、どの業界でも「行きたい」と思ってしまう自分がいました。ただ、就活で冷静になることはとても難しいと思うので、あらゆる角度から自分の適性とやりたいことを見つめ直し、何度も業界を比較しながら検討していくのがよいと思います。
「就活の軸」の見つけ方|自己分析で優先順位をつける
―― ここからは、キャリアコンサルタントの羽田啓一郎さんに伺います。やりたいことが見つからない人、やりたいことが多すぎて1つに絞れないという人。こうした悩みを持つ人は、何をしたらよいのでしょうか。
まずは自己分析をして、自分が大切にしたい軸の優先順位をつけることが必要です。軸というのは、例えば「やりがい」「報酬」「成長」「影響範囲」「知名度」など。人によって千差万別、いろいろな軸があるはずです。
残念ながら、やりたいことを全部かなえることはできません。特に自分が大切にしたいことの優先順位をつけましょう。優先順位を参照しながら、自分が何をすべきか検討してみましょう。
帰納法自己分析で「モチベーション・エンジン」を探る
―― 自分の軸を考える時、おすすめの自己分析法はありますか?
「これじゃなければだめ!」というわけではありませんが、2つの方法を紹介します。
手軽にできる方法は「帰納法自己分析」です。白紙を用意し、これまでうれしかったことや、やる気になったことを思いつくままに書き出してみてください。全部出し切ったなと思ったら、書いたものをながめてください。自分はこういう時にやる気になるのかな、と見えてきた部分があなたの「モチベーション・エンジン」の1つかもしれません。
トヨタ式思考法で軸となる価値観を見つける
自分のこれまでの行動を「なぜ?」という思考で繰り返し深掘りする「トヨタ式思考法」もおすすめです。「なんでこれをしたのか?」を3~5回程度深掘りしてみると、自分が大切にしている価値観が見つかるのではないかと思います。
できれば第三者と一緒にやって、自分の行動を深掘りする質問を繰り返してもらうのがおすすめです。自分の軸となる価値観が見つかったら、その価値観がいつ、どのように生まれてきたのかの自分史をまとめてみましょう。
信頼できる大人に悩みをぶつける
―― 「やりたいことが決まっていたはずなのに、大学でいろいろな価値観に触れ、迷いが生じてしまいました」という人もいるようです。最終的に何を信じ、進路をどう決めたらいいでしょうか。
やりたいことを実現する手段は1つではありません。さまざまな選択肢があるはずです。その中で、心が揺れ動くのは悪いことではありません。
おすすめは、信頼できる大人に自分の思いや悩みをぶつけてみることです。自分の口で話すことで、自分への理解が進むはずです。ただ、答えはありません。自分が選んだ選択肢を「正解」にできるように頑張りましょう。
例えば、家庭と仕事の両立で悩む人も多いです。今は労働環境の改善がかなり進んでいるので、仕事単位で見ると、あらゆる仕事が家庭と両立できるようになっています。仕事の種類というよりは、会社の諸制度が整っているかどうか、そして職場の理解が得られやすいかどうかをみた方がよいと思います。実際に両立している社会人の話を聞いてみると、働く様子がリアルにイメージしやすいのではないかと思います。
企業が知りたいのは「ガクチカ」の底にある思い
―― 反対に「サークル活動も、アルバイトも、課外活動も特に力を入れた覚えがなく、これといったエピソードがなく困っています」という人も。こんな人に、何か良いアドバイスはありますか。
残念ながら、何も頑張らなくていい理由はありません。ただ、就活のためだとおそらく本気で頑張れないと思います。
企業が聞きたいのは「頑張った理由」や「どんな思いで頑張ったか」です。なかなか頑張れそうなことが見つからなかったら、まずは何でもやってみる。続けてみる!そのうちに頑張れそうなものが見つかるんじゃないかなと思います。
2023年3月23日公開
2024年6月 3日更新