【七尾亜紀子さんに聞く】「無理なく続く、1日10分の新聞習慣」

 整理収納アドバイザーとして、忙しいママたちがよりラクに、楽しくなる提案をブログYouTubeで日々発信している七尾亜紀子さん。下のお子さんが小学生になったのをきっかけに毎朝10分ほど新聞に目を通すようになったそうです。小学生の男の子2人を育てながら、フリーランスとして仕事をこなす忙しい日々の中、毎朝欠かさず新聞を読み続けるための工夫や、新聞を読んで何が変わったかなどを七尾さんに聞きました。

整理収納アドバイザー
七尾亜希子(ななおあきこ)さん

朝10分の新聞タイム、子どもの小学校入学がきっかけ

 七尾さんが新聞を読み始めたきっかけは、下のお子さんが小学生にあがり、毎朝の保育園への送迎がなくなったことでした。朝の時間をどのように活用しようかなと思ったとき、新聞に目がとまり、「毎朝10分だけでも読んでみようかな」という気持ちになったそうです。新聞は七尾さんの夫が仕事のためにとっていたものでした。

 

親が興味を持たないと、子どもも興味を持たない

新聞を読み始めて「知識の幅広がる」実感

 

 さまざまな勉強会に顔を出し、「自分がいかに世の中のことを知らないか」と痛感していた七尾さん。40代を迎え、お子さんが小学生になった頃、日々のことでいっぱいいっぱいだった状況から少しだけ外にも目を向けられるようになったそうです。

 「いろいろな方と出会ってお話ししているうちに、大人として教養をもっとつけたいと思いました。そして子育ての面でも親が興味を持たないと子どもも興味を持たないので、知識の幅を広げたいと思いました」。

 興味の幅が広く、博識な夫の存在も刺激となりました。「新聞を読むようになって、知識が広がり夫とも話がかみ合うようになってきました」と、新聞を読み始めた効果を話してくれました。

 

子どもを見送ったら玄関で新聞を取る

朝のルーティンに組み込んで習慣化

 

 新聞を毎朝読むと決めた七尾さんがまずしたことは、朝のルーティンに新聞を組み込むことです。

 「朝がグダグダっとなると、一日の流れが悪くなってしまうので、朝時間は大切にしています」。

 毎朝、朝食を準備したら子どもたちを見守りつつ日課であるブログを更新。そして、子どもたちを学校に送り出した後は、10分間の新聞タイム、朝ヨガ…と保育園の送迎がなくなり生まれた時間を、充実した朝タイムとして活用しているそうです。

 忙しいとつい読み忘れてしまいそうですが、七尾さんが毎朝必ず新聞に目を通せるのには、秘訣(ひけつ)があります。「学校に行く子どもを送るために玄関に行き、送った後にそのまま玄関で新聞を取る」。行動の流れに新聞を取る作業を組み込むことです。これなら毎朝取り忘れることもなく新聞を手にでき、自然と読み続けられそうです。人の動線で収納や片付けを考える七尾さんらしいこの発想、新聞だけでなく何かを習慣にしたいときにぜひ取り入れたいものです。

 

新聞は意外と初心者にもやさしい

わからないキーワードも解説してくれる

 

 そのように新聞を読み始めて七尾さんがまず発見したことは、「難しくて読みづらいと思っていたのに、新聞は意外と初心者に親切」ということでした。

 「読んでみると、コンパクトに世の中の動きが読み取れる工夫があちこちにあり、わからないキーワードも文章内や欄外で解説されていることに気が付きました。『SDGs』『ブロックチェーン』などよく聞くけれど今さら聞けないと思うような言葉も解説されていて、子どもに聞かれてもこれなら答えられそうです」。

 七尾さんは、毎朝ひと通りざっと新聞に目を通し、気になる記事があれば詳しい説明を読みます。しっかりと読み込もうとせず「世の中でどういうことが起こっているか、流れが把握できればいい」と肩ひじを張りすぎず、気楽に目を通すのも続くコツなのかもしれません。

 

情報源に新聞が加わると、情報が点から線になる

ネット情報を新聞で確認|新聞がきっかけで読書も

 

 サイト、Twitter、Instagram、YouTube、本やテレビなどさまざまな情報に普段から触れているといいます。情報源に新聞が加わったことで、点在していた情報が「線」となって結びつく感覚を感じたそうです。新聞で読んだ国や土地をお風呂場に貼ってある地図で場所を確認することで、その情報がより立体的に理解できるようになったと話します。

 「ネットなどで触れた情報を新聞で確認することもあります。逆に新聞で気になったキーワードなどをもっと知りたいと思ったときは、本を読むこともあります。最近は台湾の天才プログラマー、オードリー・タンさんのことが気になり、タンさんの本を読みました。点でしかなかった情報が線になって結びついてくると、知識が深まることを実感します」。



中長期的に重要なことがわかる新聞

知識が生活圏内から世界に広がる

 

 ネットで無料でもニュースが見られる中、あえて新聞を購読して読む意義を聞いてみました。

 「ネットやテレビは見出しや映像にインパクトがある事件が目立ちがちという印象があります。それに比べて新聞は、中長期的に重要なことにも紙面を割けるというのが強みだと思います」。

 収納だけでなく、「忙しいママたちのさまざまな困りごとを解決していきたい」という広いビジョンを持って仕事をする七尾さんにとって、新聞は世の中の流れを知るヒントとなっているようです。

 「1日10分というわずかな時間ですが、自分の普段の生活圏内のことだけでなく、世界のことについて知識を広げられて楽しいです」。

 

整理収納アドバイザーに聞く!新聞収納法

おすすめの収納ワザ3選

 忙しいママたちの片付けの悩みを数多く解決してきた七尾さん。片付けの極意を聞くと、 「まずはどこに何を置くか、お家のゾーニング。それを決めたら、ムダのないように動線を考えて物を配置していく。その場に収まらずあふれるものは、どうするか考える。優先順位をつけてお金を使っていくように、物にも優先順位をつけていく」 とアドバイスをくれました。

 

 最後に、ママたちが悩みがちな「新聞どこ置く問題」について七尾さんに聞いてみました。「目にしやすいところに置かないと存在を忘れがちだけど、ずっと置いておくのは片付かなくて嫌」そう考えるママたちも多いのではないでしょうか。そんな悩みに対して七尾さんは、「読みかけの新聞は、すぐに手にとれるけれど、視界を妨げない場所に置くのがおすすめ」と、いくつか提案してくれました。

【1】布製のシンプルなバッグですっきり

 布製のシンプルなバッグならリビングに置いても視界の邪魔になりません。読みかけの本や雑誌などと一緒に入れておけば、好きなときに読めます。

 バッグだから移動もラクラク。ダイニングに置けば食事前後などにも手にしやすいです。

 

【2】100均のワイヤーネットと結束バンドで「ちょい置きスペース」

 七尾家のダイニングテーブル下にある「ちょい置きスペース」は、読みかけの新聞を置くのにもピッタリ。100均で買えるワイヤーネットとケーブルをまとめるための結束バンドで作ったお手製スペースです。意外とダイニングテーブルには「ちょっと」といろいろ置いてしまいがちなので、それらを全部ここに置いたらテーブルもスッキリしそうです。

 

【3】そのままひもで束ねられる収納グッズを活用

 読み終わった新聞の扱いも悩みどころ。七尾家では、こちらもシンプルな収納グッズで解決しています。毎日のことなので、面倒でない場所に扱いやすい収納グッズを置くことがポイント。七尾家では、そのままひもで束ねられる収納グッズを利用することでストレスフリーです。

 

七尾亜紀子(ななお・あきこ)さん
IT会社勤務を経て、2018年に整理収納アドバイザーとして独立。2児の母。
雑誌やテレビでも活躍。
著書に「自動的に部屋が片づく 忙しい人専用 収納プログラム」(2018年KADOKAWA)。

 

2023年3月7日公開
※記事中の年齢等は取材時