【浜島直子さんに聞く】子どもには自分で考え、行動できる人になってほしい

浜島直子(はまじま・なおこ)さん

1976年札幌市生まれ。18歳でファッション誌のモデルでデビュー。女性誌、テレビ、ラジオなど多方面で活躍。精力的に執筆活動を行い、随筆集「蝶の粉」、絵本「ねぶしろとおいしいまる」(ともにミルブックス)などを出版。


「予期せぬところから面白い球が飛んできた」

 

 ばさばさと1面からめくる。ふわっと漂うインクのにおい。見出しが伝える、世の中の動き。思いもよらない出来事や考え、人物を紙面で知るたびに、自分の世界に「予期せぬところから面白い球が飛んできた」との感覚がやってくる。どの記事を心の引き出しにしまうかは、自分次第。新聞にはそんな読み心地のよさと、面白さがある。

 今やスマートフォンで検索アプリを開けば、世界中の誰かが発信した情報、意見と触れ合える。一方で、尽きることなく押し寄せる情報の波に流されず、自分の軸を保つことはこれまで以上に大変になった。

 そんな時代に、新聞はさまざまな立場の人々の意見や情報をひもといて、最大公約数となるシンプルな事実を示してくれる。

 

親の真似をして、新聞を読み始めた息子

 

 今年4月に小学生になる息子(6)も最近、親の真似をして新聞を読もうとする。毎晩絵本を読み聞かせたことで自然と平仮名を覚えたようで、漫画のキャラクターが登場する欄を楽しみにしている。

 息子には、情報を自分なりに判断し、それをどう世に投げて返すのかを考えて行動できる人になってほしい。新聞に載るさまざまな記事を読むことは、自分で考える訓練になると思う。

 新型コロナウイルスの感染が広がって以降、読者投稿欄や俳壇につづられた言葉が、一層心に響くようになった。大変な日々の中、喜びや楽しみを見いだそうとする人々の営みに触れ、時に価値観の変化を感じ取ったり、心の揺れに共感したり。気持ちが癒やされることもある。

 みんな大変な中、生きている。だから私もがんばろう。そんな風に励まされている。

2021年4月28日公開