【出口汪さん】学びや受験のカギ「論理力」を新聞で鍛える

予備校講師・出版社代表 出口 汪(でぐち・ひろし)さん

1955年、東京都出身。
東進衛星予備校講師(現代文)、日本語・論理力を育成するための教材などを出版する「水王舎」代表取締役。著書多数。

筋道立てコミュニケーションする力が問われる大学入試


 2020年以降、大学入試制度が大きく変わります。知識の活用力や思考力、主体性が問われる形式になり、暗記型の勉強だけでは対応できません。そこでカギとなるのが「論理力」です。

 論理力とは「筋道を立ててコミュニケーションする力」です。学校内で過ごしている子どもたちは、「友人」「先生」といった関係性の中で、感覚的なコミュニケーションを行っています。ところが社会に出て、年齢も経験も教養も異なる人たちと出会ったとき、感覚だけでは通用しません。論理的にコミュニケーション できるかどうかが、成功のカギを握っています。

 

新聞の正確な文章が論理的な頭をつくる

 

 論理力を養うには、正確で論理的な文章を読む癖をつけることです。その模範となる文章が新聞の記事だと、私は考えます。

 ベテラン記者や有識者が、さまざまな事象を掘り下げて解説する社説や論壇記事を読むことは、「論理的な頭」を鍛えるのに役立ちます。正確な文章の捉え方、書き方を身につけるための良い訓練にもなります。新聞を読んで身につく論理力は、国語の学力向上に役立つと考えられていますが、日本語で出題される問題文の意図を正しく読み解き、正解に近づくという意味では、すべての教科で役立ちます。こうした力は、詰め込み型の教育を受けてきた子どもたちにとって、一朝一夕で身につけられるものではありません。

 まずは保護者の方々が意識して、子どもたちと見出しに目を通し、いま社会で起こっている事象を広く見渡してみる。気になる記事があれば「◯」で囲って、後でじっくり読んでみる。そんな気軽な新聞との付き合い方から始めてみるとよいでしょう。

   2018年4月25日公開