子どもの語彙(ごい)や表現力を楽しく伸ばせる「言葉遊び」が注目を集めています。親子で触れ合う時間に取り入れる家庭も増えているようです。 一方で、「同じゲームばかりで、子どもが飽きてしまう」「まとまった時間が取れない」と悩みを抱えるママ・パパもいます。記事の後半では、そんなママ・パパの悩みを解消しつつ、親子いっしょに楽しめる「しんぶんちゲーム」を紹介します。
目次
子どもと楽しめる言葉遊び――300人のママ・パパに実施したアンケートを紹介!
子育て世代のママ・パパは、子どもとどのような言葉遊びを楽しんでいるのでしょうか。20~40代のママ・パパ300人に聞きました。
1番人気は「しりとり」でした。しりとりは他の人の回答を聞いて新しい言葉を知るきっかけになるだけでなく、思いついた言葉を口に出すアウトプットの要素があるのも魅力です。「日本語のみ」「アニメのみ」「赤いもの限定」のようにあえて制約を設けて、難易度を上げて楽しむといった声もありました。
2位は思考力や想像力を養える「なぞなぞ」でした。3位は、指定した色を身の回りにあるものから探す「色探しゲーム」です。
4位の「連想ゲーム」は、お題の単語やフレーズに関連するヒントを出し合い、答えを当てるゲーム。例えば答えがリンゴであれば、「果物」「赤い」「甘い」といったヒントを出して、正解が出るまで続けます。
言葉遊びで語彙の増加、思考力アップに期待
同じママ・パパへのアンケートによると、こうした言葉遊びを通じて、語彙や考える力を子どもに身につけてほしいと思っている人が多いようです。語彙を伸ばせるしりとりが人気なのも納得ですね。コミュニケーション能力、表現力、発想力を伸ばしたいと考えるママ・パパも一定数いるようです。
「子どもが飽きちゃう」「短時間で遊べるゲームがほしい」が悩みの種
一方、言葉遊びには悩みもあるようです。
アンケート結果では、「子どもが飽きてしまう/興味を持たない」「まとまった時間が取れない」といった悩みが上位を占めました。さらに、「遊びの種類や方法がわからない」「適切な教材・遊び道具が見つからない」「効果があるのかわからない」といった悩みもみられます。子どもを飽きさせない遊び方や、短時間で遊べるゲーム選びに悩んでいる方が多いようです。
ここからは、そんなパパ・ママの悩みを解消するオススメの言葉遊び「しんぶんちゲーム」を紹介します!
新聞を活用した言葉遊び|子どもの知力を高める「しんぶんちゲーム」とは?
「しんぶんちゲーム」は、新聞を使った全39種類のミニゲーム。記事を読みこなせない子どもでも楽しめるのが特徴です。ゲーム1回あたりの所要時間は1分から3分。短い時間で楽しめるように工夫されています。子どもの思考力・判断力・表現力などが養える効果も確認されています。遊び方とルールをまとめた39種類の「ゲームカード」のキットを無料でダウンロードできるのもうれしいポイント!
例えば・・・
「ストロング」はとてもシンプルなルール。強そうな言葉を新聞から探して、発表し合います。年齢差のある子ども同士でもワイワイ楽しめます。
もう少し難易度の高いものだと、こんなゲームも・・・
「モシモ『宿題』」は、新聞の中から「学校の宿題を忘れた時に使える言い訳」を探して発表し合うゲームです。最も説得力のある言い訳を発表した人が勝者です。
ちなみに、ここで紹介したゲームの体験記もあります⇒ しんぶんちゲーム体験会レポート
小学生4人が3つのゲームに挑戦!実際に遊んでみるとすごく盛り上がりました!具体的な遊び方などの参考にもなりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
ここからは「しんぶんちゲーム」を開発した大谷直史さん(鳥取大学准教授)に、ゲームを通じて伸ばせる能力や、おすすめの遊び方を教えてもらいます!
鳥取大学 教育支援・国際交流推進機構 教員養成センター 教員養成部門 准教授
大谷 直史(おおたに・ただし)さん
3つのジャンルに分かれた全39種類のミニゲーム
―― 「しんぶんちゲーム」とはどのようなゲームですか。
「しんぶんちゲーム」は、新聞から言葉を探す遊びや、新聞紙を使った工作のアイデアを集めた39種類のミニゲームです。遊び方によって、「スピード」「アクション」「コミュニケーション」の3つのジャンルに分けています。
「スピード」に分類したゲームでは、紙面から言葉や写真を探し出す速さを競います。例えば「ビッグ」というゲームでは新聞の中から一番大きいと感じた言葉を探します。「クラウド」は一番多くの人が写っている写真を探すゲームです。
「アクション」は新聞を使って体を動かすゲームです。新聞紙1枚を破り、その長さを競う「ロング」や、新聞紙1枚に開けた穴の数を競う「メニー」などがあります。
「コミュニケーション」のカテゴリーには、発想や表現の面白さを競うゲームを集めました。例えば「スタンバイ」はスマホの待ち受け画面にしたくなる写真を紙面から探す遊び。「シャッター」は写真を撮る時に使えそうな言葉を紙面から探すゲームです。
――新聞を使ってこんなに遊べるなんて意外でした!
新聞は情報を得るためのツールですが、しんぶんちゲームはあえて、新聞本来の使い方をせずに「新聞で遊んじゃうゲーム」です。新聞を「情報を得るための読みもの」ではなく、「紙でできた物」として、印刷されている文字を「記号」として楽しみます。
もともと僕はボードゲームが趣味で、ゲームは教育ツールとして優れていると考えていました。「しんぶんちゲーム」は、新聞とゲームを組み合わせて、教育の新しい可能性を探りたいという思いで作ったものです。
「しんぶんちゲーム」は、主に小学生に遊んでもらうことを前提に制作しました。ひらがなが読めない幼児には「しんぶんちゲーム LIGHT」がおすすめです。
「しんぶんちゲーム LIGHT」はこちらから無料ダウンロードできます
開発者に聞くしんぶんちゲームの効能
――普段から新聞に読み慣れていないと何だか難しそうです。
そんなことありません。「しんぶんちゲーム」は、新聞さえあれば誰でもすぐに遊べます。
例えばしりとりや連想ゲームなどの言葉遊び、あるいは答えの面白さを競う大喜利系のゲームは、自分の知識や語彙が問われます。この点、「しんぶんちゲーム」は手元の新聞から言葉を拾って遊ぶので、みんな同じ条件で楽しめます。
年齢差があっても、知っている語彙の数に開きがあっても一緒に遊べるのは、ユニバーサルデザインの観点からも優れた特徴だと思います。
小さなお子さんは「しんぶんちゲーム」を通じて、知っている言葉を見つけた時の喜びや、人と関わる楽しさを感じられます。学年が進むと、戦略を考えて工夫できるようになります。参加者それぞれが自分に合った楽しみ方を見つけられるのが「しんぶんちゲーム」の魅力です。
また、ランダムに配られた紙面で勝負するので、運や巡り合わせによって難易度が変わるのも面白いポイントです。テレビ欄だとちょっと有利だったり、数字が多い株式欄だと一気に難しくなったり。うまくいかなくても「今回はしょうがない」と割り切れる気軽さが、このゲームの楽しいところです。
しんぶんちゲームは、いずれもシンプルなルールで誰でも遊べるように作っていますが、上級者はルールをアレンジして難易度を上げることもできます。
子どもたちが自分で新しい遊び方を見つけたり、お父さんやお母さんがオリジナルのお題を考えたりするのも良いと思っています。家族や友達みんなでアイデアを出し合い、自由に遊んでもらえたらうれしいです。
教育の3要素を満たした「しんぶんちゲーム」
――「しんぶんちゲーム」ではどのような能力を高められますか。
「しんぶんちゲーム」は、学校教育で重視される3つの要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性」を高められます。
学びに向かう力は「主体性」、人間性は「協働性」と解釈できます。ゲームを通じて主体性や協働性も育むことができます。
※参考:新学習指導要領リーフレット|文部科学省
知識・技能――五感を通じて言葉が記憶に残る
「しんぶんちゲーム」では、新聞の情報を遊びながら取り入れることで、知識が蓄積され、使いこなすスキルが身につきます。「アクション」系のゲームでは身体的技能、「コミュニケーション」系のゲームでは表現のための技術も高まります。ゲームを楽しみながら、スキルアップできるんです。
さらに、遊んだ言葉が記憶に残りやすいのも「しんぶんちゲーム」の良さです。私たちの記憶は、文字情報だけでなく、手触りやにおいなどの五感を通じて鮮明に残ります。
「しんぶんちゲーム」は、新聞をめくって手触りを感じる、ペンで新聞に印を付ける、声に出して発表するなど、五感をフルに活用して遊びます。そのため、ただの文字情報として読むよりも記憶に残りやすいのです。
思考力・判断力・表現力――「ずらして考える力」を伸ばす
「しんぶんちゲーム」は、言葉の意味を理解し、ゲームの課題に対して工夫して考える思考力、状況に応じて適切な言葉を選ぶ判断力、自分の考えを伝える表現力などが高められます。
このゲームで特に重要なのは「ずらして考える力」。つまり、発想を少し変える柔軟さです。例えば、「一番高いものは?」というお題で、物の高さ(例:東京スカイツリー)で答える人もいれば、金額(例:ダイヤモンド)に視点をずらして考える人もいます。この「ずらして考える力」こそが「しんぶんちゲーム」の楽しさであり、言葉遊びの本質だと考えています。
主体性・協働性――「こうすれば面白くなるかも」「面白がらせたい」が成長につながる
「しんぶんちゲーム」では、みんなで協力して、主体性や協働性も発揮しながらゲームを進めていきます。
主体性は、内側から湧き出るエネルギーです。つまり「もっとこうしたい」「こうすれば面白くなるかも」といった考えを自分で実現していく力です。
これに対して協働性は、他者の影響を受けて引き出される受動的なエネルギーだと言えます。例えば、協力し合う中で生まれる他者への共感や、共感される自分になりたいという気持ちです。協調性とも言えるでしょう。
「しんぶんちゲーム」では「こうすれば面白くなるかも」「面白いと思ってもらいたい」といった主体性や協働性も養えます。
しんぶんちゲームで親子の絆を育む
――他にはどんな効果がありますか?
しんぶんちゲームは子どもの成長に役立つだけではありません。親子の絆を深めるツールとしても活用できます。ぜひお父さん・お母さんも一緒にやってみてください。
「しんぶんちゲーム」の魅力は、普段の立場とは異なる関係性を築けることです。「養育する・される」という親子の関係に加えて「対等に遊び合える仲間」としての関係が生まれます。遊びながら自然と会話が弾み、普段話さないことを話し合うきっかけにもなります。
「こんなことも考えられるようになったんだ」と子どもの新しい一面を知ると、親として子どもを多面的に見られるようになるでしょう。1本の絆が2本、3本と増えていくようなイメージで、少しずつ親子の絆が深まります。
「しんぶんちゲーム」の遊び方|1日1種類ずつ気軽に楽しむ
―― 「しんぶんちゲーム」におすすめの遊び方はありますか。
「しんぶんちゲーム」は、1日1種類ずつ気軽に楽しむのがおすすめです。継続すると、言葉への興味がどんどん広がります。
39種類のゲームカードを毎日1枚ずつ引いて遊んでも良いですし、シャッフルしてその日のゲームを決めて楽しむのも良いでしょう。
ゲームカードにはそれぞれ、難易度を星マークで載せています。星1つは幼児向け、星2つは小学校低学年向け、星3つは小学校高学年向けです。ただ、これはあくまで目安。とにかく自由に楽しんでください。
こちらの記事では、小学生のお子さんと実際に遊んでみた様子を伝えていますので、ぜひご覧ください。かなり盛り上がっていますよ!
言葉遊びを取り入れて親子のコミュニケーションを深めよう
ママ・パパ300人に聞いたアンケートでは、仕事や家事、育児に忙しい子育て世代には、しりとりやなぞなぞといった短時間で楽しめる言葉遊びが人気でした。「子どもがすぐに飽きてしまう」「子どもと楽しめる遊びを知らない」といった悩みを持つ人が多いこともわかりました。
今回は、そうした悩みを解消できる「しんぶんちゲーム」を紹介しました。言葉の知識を増やせるだけでなく、思考力やコミュニケーション能力なども養えます。特に「ずらして考える力=発想を変える柔軟さ」の向上が期待できるのが魅力です。
「しんぶんちゲーム」には、親子で一緒に遊ぶことで新しい関係を築けるメリットもあります。新聞があればいつでもどこでも楽しめるので、ぜひ親子でトライしてみてください。
大谷 直史(おおたに・ただし)さん
鳥取大学教育支援・国際交流推進機構教員養成センター准教授
北海道大学大学院教育学研究科修了。2001年から鳥取大学で講師を務める。07年から同大准教授。専門は社会教育学、環境教育学。
<調査概要>
【調査手法】インターネットアンケート
【調査対象】20〜40代のママ・パパ
【調査期間】2024年11月6~20日
【回答者数】300人