『うんこドリル』著者&編集者に聞く!「学びの本質」とは?【後編】

『うんこドリル』著者の古屋雄作さん、文響社うんこ編集部の相原健吾さん、うんこ事業部うんこアンバサダーの石川文枝さんに、大人気の『うんこドリル』が生まれたきっかけから、うんこドリルに詰まったこれからの時代に必要な教育のヒントについてインタビューしました。

☆前編はこちら☆

 

大人が子どもと一緒に楽しむ子育て

 

 

――古屋さんはお子さんを育ててく中で、面白さやエンターテイメントを絡めた工夫をされていたりするんですか?

古屋さん:小学1年生の娘がいて、子育てに関してはそこまで信念というほどのものはないですが、無理強いはしないようにしています。やっぱり無理やり強制的にやらせるのはこちらも辛いですし、なるべくそうならないように。

自分たちの世代は「なんでこれやんなきゃいけないの?」「いいからやれ」みたいな人たちばっかりだったじゃないですか。自分の親がというよりも世間が。自分はそうありたくないですね。

逆に反応があったところをめっちゃ伸ばす、一緒になって盛り上がる。

そのためにいろいろ興味がありそうなものをばらまいて、上手く誘導してゆくってことはしたいなって思っています。

 

――古屋さんのご家庭ではどんなことを散りばめて、どういう風に興味を持たせたりしてますか?

古屋さん:僕は虫や生き物が好きなので、クワガタ捕りやイモリ捕りに一緒にいこうかって誘います。子どもの頃に虫がさわれなくなっちゃうと、そこからずっとさわれなくなっちゃうなと思って、それはすごくもったいないので。

子どもが何か虫を見つけた時には「おぉ、それ〇〇じゃん!」みたいにめっちゃ興奮してる感を出して、大反応します。そうすると本人もちょっと誇らしげになって、次の虫も見つけようとしてくれます。

――そこはお父さんの演出なんですね(笑)

古屋さん「すごいね!」「これパパも見たことないよ!」とか、包み隠さずに反応するという感じです。クワガタの幼虫も気持ち悪いと思う人が多いと思うんですけど、幼虫の世話も一緒にやって、「それ私がやりたい」と言ってきたものは全部やらせます。

多少時間がかかっても、土がリビングにボロボロこぼれても、まあいいよと。そういう形で本人が興味を示したものにはなるべく歯止めをかけないようにはしています。

 

――寛容でありつつ、機会も与えるし、一緒に楽しむってことをされてるんですね。

古屋さん:僕はそこはあんまり苦労せず、自然と持っていけるんですよ。精神年齢低いんで(笑)。逆にもうすぐ子どもに置いていかれるんじゃないかなって思ってるくらいなんですよね。「いつまでやってんの?」っていつ言われるかなって。

家族のコミュニケーションも弾む「お父さんいじり!?」

 

――うんこドリルは大人が読んでも楽しいじゃないですか。大人も子どもと一緒に「次どうなるんだろう」ってワクワクして取り組めるのが1つのポイントなんですかね。

古屋さん:そうだとしたら嬉しいです。お母さんが支持してくれたのは個人的に特に嬉しかったところです。「うんこ」なので拒絶した人ももちろんいると思うんですが、想像を遥かに超えてママたちが支持してくれたことにとても勇気づけられました。

そういったことを多くのメディアやSNSでも取り上げてもらえましたが、全国の新聞でも何度か取り上げてもらうことができたことで、おじいちゃんおばあちゃんにも知っていただくことができ、デイサービスなどで活用してもらえることもあったというのは、うれしかったですね。

 

――大きなヒントですね。大人が笑いながら一緒に勉強してるというのは。

古屋さん:このドリルの特徴として、すごくお父さんをいじってるんですよ。お父さんがやたらうんこを漏らしたり、うんこをぶん投げたり、ばらまいたりするんですよね(笑)。お父さんをいじるのも大事かなって思っています。

家庭での勉強ってお母さんと子どもでやることが多いと思うので、そうするとお父さんって置いていかれがちになる。そこを「お父さんのうんこの音が大きすぎて警察がきた。」とかいう例文で、自然とお父さんいじりになり、家庭の輪ができるという。本来、一番身近にいて、いじって面白い人じゃないですか、お父さんって。

――いじりがいがありますよね、お父さんって。家族のコミュニケーションの活性化にもつながりそうですね!

古屋さん:学校の先生や校長先生もいじり倒してますね。「先生が大きな声でうんことさけんだ。」とか「校長先生が朝礼台でいきなりうんこを始めた。」とか(笑)。現場の先生は迷惑しているのだろうなと思っていますが、たまに「小学校の教師です」という方からも「うんこドリルは素晴らしい!」と褒められることがあって、ありがたい話です(笑)。

 

親子で新聞やドリルを楽しむ工夫

 

 

――今回のお話のテーマは「子どもと新聞を楽しむ」というものなのです。そこで親子で新聞を読む工夫について聞きたいのですが、先ほどの話の虫取りとかのように親が工夫しないとなかなか面白くならないですよね。

古屋さん:僕自身がクワガタ好きだから自然とそうなるのかなと。新聞を楽しいと思って読んでいるお父さんだったら、「アメトーーク!」じゃないですが、新聞の良さを子どもにプレゼンできるじゃないですか。「見てこの記事!」みたいな。

――一緒に興奮してあげたり、自分自身が楽しいと思ってるものを共有するって感覚なんですかね。

古屋さん:それが一番美しいというか、それが自然ですよね。

相原さん:大人が楽しむ、ってその通りだと思います。

ドリルでも、こういう勉強をしたよ、こういうことがあったよって子どもが話したとして、周りの大人がそれを聞かなかったり、興味を示さなかったりしたら、子どもも言わなくなるじゃないですか。もうこれ言わなくていいな、言っても意味ないなって。

言いたくなることがあるとか、言いたい相手がいるとか、言った時に相手が反応を示してくれるって大事ですよね。うんこドリルでは、それが自然と生まれることが多かったのかなと思います。子どもからもいっぱい反応もあって、それを楽しんでくれる大人の反応もあって。帰省したら、おじいちゃん、おばあちゃんが買って待ってたよ、とか。

こういうお互い接点になるところがないと、なかなか話題にならないですよね。

――子どもがドリルをやったり、新聞を読んだりして、「こうだったよ」って話した時に、親が反応してあげる。そこに良いコミュニケーションが産まれると、それを楽しみに続けられるってこともあるのかもしれないですね。

これからの時代、親として大切なこと

 

 

――最後に、子どもを育てていく上で、これからどんなことが親として大事になると思いますか?

古屋さん:ちょっとテーマが大きいですが…。子どもには「自由」であって欲しいって思っています。さっきの「いいから黙って勉強しろ」みたいな、「こういうものだから」っていう問答無用の常識やルールが結構あると思うのですが、そうじゃなくて「何でも自分の頭で考えていけばいいんだよ。」ということを言ってあげたいですね。

うんこドリルは、学習参考書や勉強とはこういうもんだっていうのを少しは変えたかなと思ってるんですけど、「なんでこうなってるんだろう」ってことが僕自身もまだあるので、それは「こういうものだから」で終わらせたくないって思っています。

 

――そうですね。確かにこうあるべしみたいなが感じがありますよね。いいですね、そこにうんこを一個投げた感じですね。

 

古屋さん:一石(うんこ)を投じました(笑)

 

相原さん:「これを勉強したらどうなるんだ」と子どもに聞かれても、こうなるってはっきり答えられないことばっかりです。親にしろ、学校の先生にしろ、そういう説明を果たせるものではないと思います。

ただやっぱり、勉強だけじゃなくて、いろんな経験が、役に立たないこともいっぱいあると思うんですけど、どこかで役に立つかもしれない。

だから、「やってみよう」ってことしか言えないから、興味を閉ざさないとか、いろんなきっかけを与えてあげるとか、っていうことが、大人ができることなのかなと思います。

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2022年12月22日公開