
新聞を使った学習「NIEタイム」に取り組む学校の子どもは、学力が高い――。日本新聞協会がNIE実践校への調査を基に、新聞の活用頻度で全国学力テストの平均正答率を比較すると、このような結果が出ました。新聞と学力との関係を、同協会の関口修司NIEコーディネーターに解説してもらいました。
「NIEタイム」実践校は学力テスト平均正答率が高い
「NIE」と呼ばれる活動をご存じでしょうか。
「Newspaper in Education(教育に新聞を)」の頭文字をとったもので、「エヌ・アイ・イー」と読みます。社会を映す鏡である新聞を、子どもの学びに活用してほしい。そんな思いで、新聞界が教育界とともに長年続けている取り組みです。
学びの場に新聞を積極的に取り入れる学校を「NIE実践校」と呼んでいます。
近年、NIE実践校のあいだで、朝学習などの短い時間に新聞を取り入れる「NIEタイム」という取り組みが注目されています。
新聞を読んで、気になった記事を探し、感想や意見を書く-そんな学びの機会を設ける学校が増えています。
日本新聞協会は2020年2月、NIE実践校の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率を調査しました。
それによると、NIEを日常的に実践している小学校の「国語」の正答率は全国平均より4.8ポイント高いことが分かりました。
さらに、その中でも「NIEタイム」を取り入れている小学校は「国語」の正答率が全国平均より5.4ポイント高かったのです。
新聞を学習に使用するなど、新聞を生活の一部にすることで子どもの学力を伸ばすことが裏付けられました。
学力に関係なく使えて、知的好奇心を高める新聞
その理由は、新聞は子どもの学力に関係なく誰でも使え、子どもの知的好奇心を高める効果があるからです。日常的に新聞を読む子どもは世の中の出来事を、自分の事として捉えるようになるという調査結果もあります。学びに向かう力を生かし、学力が高くなるのです。
新聞の活用は小学校の低学年でも、お気に入りの写真を話題にすることから始められます。漢字の部首を抜き出し集めることで、漢字がへんとつくりでできていることに興味を持つ子もいます。
家庭では記事を切り抜いた「スクラップノート」づくりがおすすめ
NIEタイムは家庭でもできます。子どもが興味ある記事などを切り抜いたスクラップノートに家族も簡単な感想を書き記事内容をみんなで考えるのが効果的です。週1~2回程度で学習意欲の向上に役立ちます。
テレビのニュースと新聞の記事とを比べ、家族で社会の出来事を話し合うのもよいでしょう。同じ話題で様々な見方があることが分かります。
子ども扱いせず、話し合うことが子どもを成長させます。親は間違った解釈でも気にせず、子どもなりの解釈のなかに良さを見つけ出し、認めてあげることが大切です。