読まないともったいない

佐々木圭一(ささき・けいいち)さん

1972年神奈川県横浜市生まれ。上智大学大学院を修了後、博報堂入社。日本人で初めて米国の広告賞「One Show Design」金賞を獲得するなど国際的にも活躍。2014年、株式会社「ウゴカス」設立。著書「伝え方が9割」は134万部突破のベストセラーに。47歳。

読まないともったいない


 コピーライターで言葉を扱う仕事をしており、新聞は身近な存在だ。子どものころも新聞が家にあるのが当たり前の環境だった。今は気になるニュースがあるときに、一般紙からスポーツ紙まで複数の新聞をまとめ買いして読み比べることが多い。同じ話題でも新聞によって考え方が違うので面白い。


 人間は情報をとり続ける生き物だ。ニュースを伝える新聞の機能がいらなくなることはありえない。「紙」という媒体もそう簡単に消えないと思う。インターネットで新聞を読むと検索機能などで便利さを感じるが、パソコンでも画面は小さくて作業しにくい。紙の新聞は大きく、情報を一気に発信する力がある。


 新聞は文章の磨き方もすごいと感じている。コピーライターの視点からみて、明らかに時間をかけて練り上げた文章が多い。そうした文章力は失ってほしくない。


 一方で新聞の特長は世間にあまり伝わっていないのではないか。日本の企業は実力は高いのに、その伝え方がうまくないというギャップがある。新聞社も例外ではない。


 日本新聞協会のプロジェクト「新聞科学研究所」で調査をしてみて、新聞の良さを改めて強く実感している。例えば子どもに将来の夢があるという回答の割合は新聞を読む家庭では52・6%。新聞を読まない家庭に比べて10ポイント以上も高い。ロケットの打ち上げのように、新しく面白いニュースを子どもが吸収できるからだろう。


 新聞購読者は防災に関する意識も20ポイント近く高い。やはり情報量が多いからと考えられる。毎朝宅配で届くことで生活のリズムができるからか、寝坊が少なくなるというデータもある。新聞は人生をちょっとよくするきっかけになりえる。読まないのはもったいないと強く思う。

 2019年11月14日公開

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