「文字のシャワーに見えないエネルギーを感じます」
お笑いタレント 小島よしおさん
海水パンツで「そんなの関係ねぇ!」を連呼するネタで一世を風靡(ふうび)した小島よしおさん。クイズ番組からバラエティー番組までメディアに幅広く出演し続けながら、2020年のコロナ禍で突然の休校を余儀なくされた子どもたちへ、わかりやすく楽しい授業を提供したいと、ユーチューブチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」を開設。瞬く間に子どもたちの心を掴み、現在のチャンネル登録者数は10万人を突破しています。そんな小島よしおさんに、新聞の楽しみ方についてお聞きしました。
週1回届く小学生新聞を購読中
「クイズ番組の出演に役立つよ」先輩芸人のアドバイスがきっかけ
――新聞は購読していますか?
週1回届く小学生新聞を読んでいます。「クイズ番組の出演に役立つよ」と、先輩芸人さんからアドバイスされたことがきっかけです。実は、一般の新聞を取っていた時期もあるんですけど、仕事柄出張が多いので毎日読むのが難しくなってしまい、僕には週1くらいがちょうどいいな、と。
――新聞のどのようなところが好きですか?
自分の知らない話題に触れられることですね。最近だと、探査機「はやぶさ2」帰還の記事。記事によると、「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」で試料を採取して地球に帰還する確率って、ものすごい低かったらしいんですよ。それを見事に成功させて帰還! そういう記事を読むと感動して元気がでますね!
――確かに、新聞は自分の興味に関わらず、旬な話題が満遍なく載っていますものね。
わかりやすさがいいなって思います。大統領選とか難しいネタも漫画で伝える工夫があったりして、読みやすい。
新聞から感じる見えないエネルギー
紙面を広げると、文字のシャワーを浴びている感覚に
――ネットでも情報が得られる中で、紙で発行される新聞を購読される方も減ってきています。
新聞は手で触れられるところが好きなんです。紙って物質だから、多分そこから出ている見えないエネルギーみたいなものがあると思っています。その紙をめくっていると、まるで指で情報を読み取っているような感じがします。
――新聞から何かパワーを感じる感覚なのですね。
新聞って、僕のところに届くまでに、すごくたくさんの人が関わっているわけですよね?そういった積み重なった厚みのあるエネルギーを全部受け取る感じがして、それが好きです。僕、本も紙派で、電子書籍はあまり買わないんですよ。
――新聞は記事を書く人、撮影する人、取材を受ける人、デザインする人、校正する人、印刷する人、配達してくれる人・・・本当にたくさんの人が関わって作られていますよね。
スマホは小さな画面だけど、新聞って広げると超デカいじゃないですか。スマホの小さな画面だとそれ以外の余計な情報も入ってきちゃうけど、新聞を広げるとそれだけで視界がふさがれるので、まるで文字のシャワー浴びているような気持ちになります。自分が読んでないところからも、情報の文字シャワーを浴びているような。そういう勝手な解釈しているんですよね(笑)。
ユーチューバーにも「読む力」は絶対役立つ
「おっぱっぴー小学校」では小島さん自らイラストも描き、「伝わりやすさ」を工夫している。
――ところで、子どもの頃から新聞は身近でしたか?
父親が新聞を読んでいたので、身近にありましたが、正直、子どもの頃は読んでいませんでした。でも、大学受験の時や仕事を始めてからは、時事ネタを拾ったり、社説をチェックしたりしていました。
――今、子どもの活字離れがよく問題にされますが、どう思われますか? ご自身もユーチューブで「おっぱっぴー小学校」を配信されているように、「読む」ことより「見る」ことで理解することが増えているように感じますが?
確かに、今は音声や映像コンテンツが主流になりつつありますよね。でも、発信する側からすると、「読む力」ってすごく大事だと思いますよ。音声や映像は受動的にも入ってくるけど、読むのは能動的に情報を取っていかないといけないわけですから。
今、ユーチューバーになりたい子どもも多いってよく聞きますけど、「読む力」を技術として身につけておくと、自分が発信側に回った時に絶対役立つと思います。
――動画コンテンツの発信にも、新聞を読んでおくことが役に立つんですね。
表現の仕方にしても、新聞って最後にジワッっとくるようなうまい書き方するじゃないですか。そういう表現方法を学んでおくのも良い勉強になると思います。
――小島さんの授業の表現方法や伝え方も、とても工夫されていて面白いです。
視覚的に仕掛けを作ったりしています。覚えておいた方が良いことをインパクトになるようなネタで途中に挟み込んだり、絵にしたり、語呂合わせにしたり。
――語呂合わせを考えながらご自分で絵も描いているんですね。目でわかるというのは大事ですよね。
今、「%」の授業を作っているんですけど、言葉だけで説明するよりも、実際に物を使って見せていこうと思っています。例えば、500ミリリットルと2リットルの容器を2つ用意して、大きさは違うけど両方同じ100%なんだよ、っていうのを視覚的に見せたらわかりやすいかな、とか。
もし、自由に新聞を作れるとしたら…?
――新聞も文字の大きさを変えたり、図やイラスト、漫画が入っていたりと実は視覚的な工夫がたくさんされているので、共通点がありますね。ところで、もし小島さんが自由に新聞を作れるとしたら、どんな新聞を作ってみたいですか?
僕、新聞を読んでいるって聞くと、「この人はしっかりした人だなぁ」っていうイメージがあるんですよ。新聞って、選ばれし者たちが書き、選ばれし者たちが読む、選ばれし活字のエリートみたいな。世の中には情報があふれていますけど、個人が自由に発信できるブログやSNSの記事と違って、そういうところに新聞の信頼があるんだと思います。でも、僕が自由に作っていいなら、そこをちょっとだけ崩して、例えば、裁判の陪審制みたいに参加型にしてみたいですね。旬の話題で記事を募集して、ただし、感想じゃなくて、ちゃんと新聞記者として書いてください、というふうにして。
――「今日、俺の記事載ってる!やった!」みたいに(笑)?
そうですね。ほかには読んだ文字だけポイントが貯まる、というようなシステムを導入してみたいですね。で、「今日は1万ポイントたまったぞ! 明日はもっと貯めてやる!」みたいになって、みんながどんどん読んでくれればいいな、と。・・・・・・って、だいぶ今のシステムと違っちゃいますね(笑)。すみません!
小島よしお(こじま・よしお)さん
1980年生まれ、沖縄県出身。2007年、「そんなの関係ねぇ!おっぱっぴー」のネタで一躍人気者になり、同年の「流行語大賞」にもノミネートされた。早稲田大学教育学部を卒業した経歴を生かし、現在はクイズ番組からバラエティーなどメディアに幅広く出演。他、YouTube「小島よしおのおっぱっぴー小学校」では小学生に向けにわかりやすく楽しい授業を、「ピーヤの休日『ピーヤTV』」では全国の子どもたちと繋がるオンラインイベントを配信している。
2023年1月30日公開
※インタビュー中のトピックは取材時のものです