【八木陽子さんに聞く】新聞は「安すぎるくらいにコスパがいい」 | 新聞科学研究所

【八木陽子さんに聞く】新聞は「安すぎるくらいにコスパがいい」

子育て世代のお金とキャリアに詳しい八木陽子さん。
テレビや雑誌など多くのメディアで活躍する一方で、親子でお金と社会の仕組みを学ぶセミナーなどを開催する「キッズ・マネー・ステーション」の代表としても活躍しています。多忙な日々の中で長年読み続けている新聞は、自身の仕事にはもちろん、現在大学1年生の長男と小6の長女の子育てにも大きな影響を与えているといいます。新聞の費用対効果や家族での活用法など、ファイナンシャルプランナーの視点を交えて語ってもらいました。

 

ファイナンシャルプランナー・キャリアカウンセラー 八木陽子さん

 

信頼できる情報が毎日届くのが、新聞の魅力


お金を払わなくても、簡単に情報が手に入る時代。それでも新聞を取り続ける理由を、八木さんはこう話します。

「新聞の記事は、記者が下調べをして取材した数多くの情報から厳選されたものです。ウェブサイトにもそういった情報はありますが、玉石混交なので取捨選択が必要。その点、多くの方の意見を取り入れながらしっかりとチェックしている新聞には一定の信頼度があると思います」。

精度の高い情報が毎日家に届くことを考えれば、月数千円という価格はコストパフォーマンスが良く、「安い」と感じるそうです。

八木さんはほかのサブスクリプション型のニュースサイトも利用しているそうですが、新聞ならではの魅力を「自分が興味を持っている分野以外の記事にふれる機会が多いところ」と話します。

 

家族でシェアしたら、コスパがさらにアップ


家族間でシェアしやすい」というのも八木さんが感じている新聞のメリットのひとつです。「夫も私も、子どもに読ませたい記事を見つけたら、付せんを貼ってリビングに置いておいたり、『これ面白かったよ』と手渡ししたりしています。それを読んだ子どもと『世の中はこんな風に変わっているんだね』『こういう生き方もあるんだね』などと感想を話し合っています」。

記事のシェアはデジタル版でも可能ですが、家の中で目につきやすい紙の新聞ならより手軽。家族みんなで“読み合う”ことで、新聞のコストパフォーマンスはさらに高まるといえます。

 

子ども向け新聞の価値はプライスレス

小5の長女がコロナ禍の休校期間中に自作した新聞

家族みんなで読んでいる一般紙に加えて、八木さんが子どもの教育に取り入れているのが子ども新聞です。小5の娘さんは、新型コロナによる休校期間中に自ら新聞を作り、遠方で暮らす祖母や親戚の方に配っていたそうです。A4サイズの紙に特集記事や漫画、歴史のコラムなど手書きした本格的なもので、企画から執筆まですべてひとりで作ったというから驚きです。

「とくに何も教えていないのですが、自分で本や新聞を読んで調べたり写真を印刷して貼ったりしていました。文章を読んで理解する『読解力』と、情報を取得して発信する『インプット・アウトプット力』はどの科目にも必要ですが、新聞を読むとそれらが自然と身につくことを実感しましたね」。

子ども新聞は安さも特徴で、「こんなに安くて、採算が取れているのか心配なくらい」と八木さん。

「最近は小さい頃から塾に通うご家庭も多いですが、それよりも低・中学年のうちは新聞を読んで勉強の下地を作った方がいいと思います。例えば、ファッションの記事を目当てに新聞を広げた子どもが、ふと視界に飛び込んできた時事問題に興味を持つかもしれません。新聞を通して、自分が興味あること以外も学ぶ姿勢が育まれると思います。子ども時代にこうした訓練をすることで、大人になってからの情報の取り方にも違いが出るのではないでしょうか」と話します。

 

「親子でともに学ぶ」くらいがちょうどいい


「社会人の勉強時間は1日わずか6分」という調査結果があります(総務省 平成28年社会生活基本調査)。子どもに「勉強をしなさい」と言う一方で、大人はほとんど勉強していないという現実。

「めまぐるしく変わっていく世の中で、正しい情報を選び取ることはとても大切です。塾や受験など子育てに関する情報も、『ママ友が言ったから』という理由だけで決めるのは怖いですよね。親子でともに学ぶというスタンスがちょうどいいと思います」と八木さん。子どもの隣でもつい動画やスマホを見てしまいがちですが、代わりに新聞を読むと視野が広がりそうです。

ふだん新聞を読む習慣がない方に、八木さんがすすめるのはまず子ども新聞を一緒に読むこと。

「子ども新聞は時事ネタが充実していますから、勉強になりますよ。私も専門分野以外では分からないことも多いので、『大統領選ってこんな仕組みなんだ』とか膝を打ちながら読んでいます」。分かりやすく短時間で読めて、コストも安い子ども新聞は、大人にとっても役立ちそうです。

長年専業主婦だけどいつか働きたいという方も、20年くらい前の会社や働き方しか知らず、情報のアップデートが必要な場合もあります。新聞を読めばさまざまな精度の高い情報にふれ、アップデートできておすすめだそう。

 

ムダに見えることが、読む力につながる

 

とはいえ、親子ともに忙しくてなかなか新聞を読む時間がない、という方も多いかもしれません。八木さんも「私自身も新聞を読めない日はありますし、まとめて捨ててしまうこともあります」と話します。

「でも、テーブルやソファにポンと置いてあるだけでいいと思うんです。読まなくても、何となく見出しが気になったり、頭に入ってきたりしますよね。効率が悪いように見えても、実はそういうムダが読む力につながっているのではないでしょうか」。

八木さんのお子さんは2人とも、活字好きに育っているとのこと。八木さんファミリーの新聞活用法は、多くの子育て家庭にとって参考になりそうです。

 

ファイナンシャルプランナーに聞く
「どうする? 子どもの教育費」


気になる子どもの教育費についても八木さんにお聞きしました!

子どもの教育は、短距離走ではなくマラソンです。最近は中学受験をするご家庭が増えていますが、最初にお金をかけすぎると後で行き詰まってしまいます。塾では「これも必修です」というノリでどんどん追加を勧められますが、すべてを塾で賄うのではなく、家庭学習と塾を並行していくといった工夫も必要です。

我が家の長男は高校受験のために中1から塾に通っていましたが、1〜2年の頃は本人が追加を望んでも最低限の科目だけに制限して、そのかわり3年生になったら何でも好きな科目を取っていいよ、という方針にしました。中学受験の場合は、小学6年生になるまで、あるいは6年生の後半までは工夫して費用を抑えるという方法があります。

いずれにしても、学年が上がるほどコストが増えるのは明らかなので、「今は工夫して節約する」「ここからは思い切って使う」など、メリハリをつけることが大切。長い目で見て、早めに計画を立てることをおすすめします。

 

八木陽子(やぎ・ようこ)さん
出版社の編集部勤務を経て、ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラーとして独立。
2005年からはお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主催し、全国の小・中・高校などで
授業や講演を多数行っている。著書に「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)や
「おこづかいの基本」(つちや書店)など。

2022年9月1日公開

※記事中の学年は取材時

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