小説執筆にはかかせない存在

鈴木るりか(すずき・るりか)さん

2003年東京都生まれ。小学4~6年の時、「12歳の文学賞」で3年連続の大賞を受賞。昨年10月刊のデビュー作「さよなら、田中さん」が10万部のベストセラーに。今月、第2作「14歳、明日の時間割」を刊行。現在、都内の中学3年生。

小説執筆にはかかせない存在


 新聞の魅力は、まず毎朝必ず届くこと。台風でも大雪でも、よくこんな悪天候の中を、という朝もちゃんと届いている。それだけで、もう頼もしい。人の手を経由して手元に届いたということに貴重さがある気がする。

 大きな新聞を広げる行為、紙の手触りなんかも好き。新聞を読んでいる自分に、どこか誇らしさを感じる。他界した祖父が社会科の教師で、毎朝すごく熱心に新聞を読んでいた。その姿にあこがれていたんだと思う。

 まず1面に目を通し、いま何が問題になっているのか、世の中の動きを見る。次にテレビ欄、社会面。隅の小さな事件記事も、小説を書く上での引っかかりがあるので見過ごせない。なぜ犯人はこんなことをしたのかとか、事件の前後を想像しながら読む。あとは料理の記事や身の上相談。作家の端くれとして記事の下の新刊広告も。

 最近の記事だと、オレオレ詐欺で息子のふりをして「フルーツを送る」とうその電話をし、住所を聞き出すという新しい手口が印象に残った。よく犯人もフルーツに目を付けたなと。「息子がそんな気の利いたことをするわけない」と見破った人もいたそうで、思わず笑ってしまった。たった2行の文章に親子の関係が垣間見えたような気がした。

 私の小説には、新聞を読んでいなければ書けなかった話、出てこなかった表現というのがある。過不足なく相手に伝える技術も勉強になる。なくてはならない存在で、すごく感謝している。

 スマホでもニュースは見るけど、紙に印刷された文章の方が、安心感や信頼性があるし、頭に残る。いち早く情報を知るだけならスマホでもいいけど、じっくり繰り返し読むなら新聞かな。

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