【上白石萌音さんに聞く】新聞には温もりがある

俳優 上白石萌音(かみしらいし・もね)さん

1998年生まれ。鹿児島県出身。主な出演作に映画「舞妓はレディ」、「君の名は。」、ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」、「カムカムエヴリバディ」など。2021年に書き下ろしエッセー「いろいろ」を刊行。22年には舞台「千と千尋の神隠し」に主人公・千尋役で出演した。歌手やナレーターとしても活動している。


いろんな記事で視点豊かに 

 

 今はいろんなメディアがあって、インターネットで情報がどんどん入ってくる。中でも新聞は社によってカラーがあり、記事に記者の思いが込められている。日常生活でいろんな人の意見を聞くのが大切なように、一つの記事だけで判断せず、なるべく多くの情報に触れるようにしている。


 それは台本の読み方と似ている。物語の中で「なんだこの人!」って思う人にもそれまでの人生があり、その人なりの考えがある。一方的に悪いと言われている側にも、何か事情があるのかなって思いを巡らす。

 

テレビ欄に蛍光ペンを引いて喜ぶ祖父母

 


 祖父母は、新聞のテレビ欄に私の名前があったら蛍光ペンで線を引いて喜んでくれる。番組に出る時は、何時に出るよって電話をすると、こっちが言う前に「新聞で見たよ」って。昔お世話になった地元の方たちは、私のインタビューやコラムの記事を見つけては写真を撮って送ってくれる。デジタル時代だけど、新聞にはぬくもりがある。


 朝起きるとニュースのラインアップが気になって、上位のものには目を通す。話題になるだろうし、いろんな意見が出てくると思って。そういうニュースはたくさん記事が出ていて、多角的な視点を持てるチャンスだ。

 

NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では和菓子の本で勉強

 


 街中のポスターや看板、説明書を読み込んでしまうくらい活字が好き。外出する際は必ずかばんに本を入れている。お芝居で作品に入る前は、関連した本を何冊か読む。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、和菓子やあんこに関する本を読んだ。看護師役をやる際は、看護学生が必ず読むという本を教えてもらった。文字で感性を磨く作業が私にとって不可欠だ。

 

2022年5月6日公開