【探究学舎・宝槻泰伸さん流】子どもの思考力アップのカギは? | 新聞科学研究所

【探究学舎・宝槻泰伸さん流】子どもの思考力アップのカギは?

 子どもの思考力や探究心を伸ばすために親ができるサポートとは? 知的好奇心を引き出す学習塾として話題の「探究学舎」代表・宝槻泰伸さんの答えは、提案力を磨くこと。タイミングを逃さずに子どもの好奇心を育むために必要な準備について、宝槻さんが日本新聞協会×HugKum特別セミナー(2022年7月)で語りました。考える力を身に付けるために効果的な新聞活用術も紹介します。

 

知識の詰め込みから、探究の時代に

 宝槻さん皆さんは、大学入試で評価されるポイントが変わってきていることをご存じですか? 知識や技能が問われていたこれまでの受験から、主体性や多様性、協働性が重視されるようになっています

 また、大学入試改革だけでなく、高校教育も変わっています。今、高校の科目には【古典探究】【地理探究】【日本史探究】など【探究】と名の付く科目が増えています。与えられた課題を解決する“勉強”ではなく、自ら課題を見つけて解決する“探究”が、重視されるようになってきました。

 宝槻さん2000年頃に、入学者の7割がペーパーテストの一般入試、3割が推薦だった大学入試も、今では一般入試、推薦入試が半々に変化してきました。推薦入試では“これまでにどんな探究をしてきたか”が、問われるようになっています。詰め込み型の勉強が苦手でも、ある分野に興味を持って探究してきた子どもが評価されるようになってきたわけです。

 親御さんは、偏差値や知名度の高い大学や学部に引かれがちですよね。でも、それって子どもたちの自由な生き方につながるんだっけ? というところを考える時期に来ているのです。

 

親に求められる提案力とは

 宝槻さんでは、子どもに探究力を身に付けさせるにはどうすればよいでしょうか。これは、親御さんの伴走力にかかっています。お子さんの興味のあることをとことんやらせて、熱中タイムを応援することがとても重要です。

 “この図鑑を読んでみたい”、“この実験をやってみたい”と、子どもから言ってきてくれたらうれしいですよね。ただ、これができるのは、既に自ら探究する力が身に付いているお子さんです。彼らは、どうすれば自分の好奇心が満たせるかを知っています。しかし、できないのが当たり前。親はきっかけづくりをしてあげましょう

 例えば、親から誘って外へ連れ出したり、面白そうなものを買ってみたり、話しかけてあげたり。子どもにフィットする提案を次々にしてあげるのです。ただし提案には、YouTubeやゲームに勝る魅力が必要です。親御さんはこの提案力を磨いていく必要があります。

 

 ◎お子さんの好奇心に火をつけるきっかけ、新聞で探してみませんか? 科学、歴史、文学、スポーツなど。探究のテーマが詰まっています。

 

 

提案のタイミングを逃さない

宝槻さんの父をモデルにしたマンガ「とんでもオヤジの『学び革命』」(小学館)より

 

 宝槻さん私が子どもの頃、父は大量の本を家に用意していました。食事中に何か話すと“それならこの図鑑に詳しく載っているぞ!”とすかさず差し出してくるのです。常に、子どもの興味を引きそうな内容の本やDVDを用意しておき、タイミングを見計らって提案してくれる父親でした。

 子どもの性格、子どもの個性に向き合いながら、日常の中で提案のタイミングを逃さないことが大切です。子どもが興味を持ったタイミングで手渡してあげることは、探求する心を引き出すためにとても重要。私もわが子に対して実践しています。

 マンガも立派な教材になります。父からは本やマンガを1ページ読むごとに1円もらえると言われ、「日本の歴史」「世界の歴史」「竜馬がゆく」などを全巻読みました(笑)ご褒美には賛否あると思いますが、子どもにとって、“マンガ教材を読むことは楽しい”という内発的動機を引き出すのは難しいこと。ご褒美という外発的動機があったとしても、読む楽しさに気づかせてあげることが大事だと考えています。

 

新聞の書き写しで国語力を磨く

 宝槻さん先ほど紹介した歴史マンガのように、事実に基づくストーリーを楽しく学ぶことは人生の栄養になります。ノンフィクション映画やドキュメンタリー番組も同じ類です。父からは、新聞の書き写しもさせられました。これも、当時はご褒美に釣られていたわけですが、新聞の書き写しは日本語の文章のリズムを身体的に体得することができるため、国語力を磨く方法として最適です。実際、私の生徒で、新聞記事の書き写しを続けた結果、国語の偏差値を5から70に上げた子がいました。その子は、400字詰めの作文用紙にして、通算2000枚書いていました。

 私達は言葉を使って物事を考えます。つまり国語力を磨くことは思考力を高めることにつながります。国語力を磨くサポートは積極的にしていただくと良いと思います。

 

 ◎思考の土台となる国語力は、どんな道を選んでも身を助けるはず。新聞で磨き抜かれた文章に触れてみませんか?子ども向け新聞には、マンガやイラストで四字熟語やことわざを学べるコーナーもあります。

 

 

「心の引き出しに体験を詰めてあげて」

参加者からの質問を一つご紹介します。

――自分から課題を見つけられる子やいろいろなことに興味が持てる子もいれば、何をすればよいか分からない子もいます。違いは何でしょうか?

 宝槻さん自分からやりたいことが見つかる子は“種がまかれている子”。幼少期にワクワクするような体験をしており、その体験の中から選んでいます。

 やりたいことが見つからない子も焦らずに、親御さんから“あれはどう?”、“これはどう?”と提案をしてあげてください。心の引き出しの中にいろいろな体験を詰めてあげることで、いずれ自分で引き出しの中から選べるようになりますよ。

 

宝槻 泰伸(ほうつき・やすのぶ)さん

 探究学舎代表。幼少期から「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」がモットーの型破りなオヤジの教育を受ける。高校を中退し京大に進学。次男、三男も続き、リアルオヤジギャグ「京大三兄弟」となる。開発期間5年、子ども達が「わあ!すごい!」と驚き感動する世界にたった一つの授業を求めて、北海道から沖縄まで、時にアメリカ・ヨーロッパ・アジアからも親子が集まる。2017年は延べ約2000人、18年は年間約3000人が参加。5児の父。

 

2022年9月12日公開

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